AIとゴルフと税理士
最近、税理士としてAIとどう付き合っていくべきなのかを考える機会が増えました。
私自身、今年からチャットGPTビジネスプランを契約し、自分の仕事でAIに委ねる部分を少しずつ、探り探り検討している毎日です。
先日参加した研修でも、税理士とAIについての話があり、かなり刺激を受けました。
一方で、AI開発の最前線にいる研究者自身がAIの将来的な危険性について警鐘を鳴らしている、というニュースも目にしました。
AIはものすごく便利です。でも、ものすごく強力だからこそ、扱い方を間違えれば危険でもある。
だから使わない。
……という話には、私はならないと思っています。
ゴルフに例えるなら、
「ドライバーはミスするとOBになるから、18ホール全部9番アイアンだけで回ります」
と言っているようなものだからです。
AIは、とんでもなく飛ぶドライバー
AIを使っていて一番感じるのは、この道具が
「人間の能力を拡張する道具」
だということです。
ゴルフでいえば、とんでもなく飛ぶドライバーです。
これまで200ヤードしか飛ばせなかった人が、いきなり400ヤード飛ばせるようになるとんでもドライバーというところです。
私が小学生ぐらいのころ、少年ジャンプで『ライジングインパクト』というゴルフ漫画が掲載されていました。そこに出てくるスウィートスポットが見えるガウェインがたたき出すのが400ヤード代です(私は200程度が限界です)。
税理士業務でも同じだと思います。
大量の資料を読む、仕訳データを分析する、文章をまとめる、論点を整理する、法令を探すための入口を作る。
こうした作業について、AIを使うことで処理できる量もスピードも大きく変わります。
昔であれば、「仕事ができる経理担当者」「仕事が速い税理士」と言われる能力の中には、
仕訳入力がものすごく速い、電卓を叩くのが速い、大量の伝票を一気に処理できる。
といったものもありました。
もちろん、それらは間違いなくすごい能力です。
電卓検定などは、ゴルフでいえばドラコン競技みたいなものだったのかもしれません。
速く、正確に、遠くまで飛ばせる。
それ自体に価値がありました。
でもAIは、その「飛距離」を一気に伸ばしてしまいます。
今後は、AIを使いこなす一般の人が、AIを使わない専門家よりも大量の仕事を処理する、ということも普通に起きるでしょう。
だから私は、
税理士がAIに淘汰されるのではなく、
AIを使いこなす一般人、そしてAIを使いこなす税理士に淘汰されていく
のではないかと思っています。
ただし、税理士業務はドラコンではない
では、400ヤード飛ばせればゴルフで勝てるのか。
そんなことはありません。
どれだけ飛ばしても、最後にカップへ入らなければスコアにはならないからです。
ワンオンしても、そこから4パットしたら平凡なスコアでしかありません。
私はここに、税理士の仕事の本質があると思っています。
AIを使うと、かなりのところまで一気に業務を進めることができます。
体感的には、
「8割くらいまではものすごい勢いで持っていってくれる」
という感覚があります。
ただ、残りの2割。ここが怖い。
AIは、ときどき堂々と間違えます。しかも、人間が読んでも一瞬正しいように見える文章で間違えます。
そこで必要になるのが専門家です。
税法はどうなっているのか、通達はどうか、今回の事実関係に本当に当てはまるのか、この処理を税務調査で聞かれたとき説明できるのか。
そこを最後に判断する。
ゴルフでいえば、ラインを読み、正確にパターをカップに沈める力です。
最後のパットは自分で打つ
パターという道具自体は、子どもでも振れます。多分私の2歳の娘でも当てることくらいはできるでしょう。
でも、ラインを読んで、距離を合わせて、カップに入れるとなると簡単ではありません。
税務も同じだと思っています。
数字を入力するだけなら難しくない。AIに質問するだけなら誰でもできる。
でも、
「この数字をここに入れて本当にいいのか」
「この法律をこの事案に当てはめていいのか」
「この申告内容に税理士として名前を書けるのか」
という最後の判断には、専門家としての経験や知識が必要です。
もちろん税理士だって100%パットが入るわけではありません。
私自身、経験不足を感じることは多々あります。
それでも専門家である以上、少なくともカップの近くまで寄せる。
そして最後は自分で判断する。
そこはAIに丸投げしてはいけないと思っています。
AIで武装する。自分自身も研ぎ続ける
これからAIはもっと進化すると思います。
今よりもっと正確になり、もっと大量の仕事を一瞬で処理できるようになるでしょう。
だからこそ怖いのは、AIを使うことではなく、
AIを使うことで自分の専門能力を使わなくなること
だと思っています。
毎回AIにパットまで打ってもらっていたら、自分ではラインが読めなくなるかもしれません。そして、AIは堂々と間違えますが、その間違いに専門家の自分が気づけなかった責任は、AIはとってくれません。私がパットという判断の全責任を負うわけです。
だから私は、
AIで武装する。自分の専門能力も研ぎ続ける。
という姿勢でいきたいと思っています。
危ないからドライバーを持たないのではない。
思い切り振る。
必要なら魔法のドライバーで400ヤード飛ばす。
でも、最後のパットは絶対に自分で打つ。
今のところ、それが私なりの「税理士とAIとの付き合い方」です。
※このブログ記事自体もAIと自分の意見を壁打ちし、初稿を書いてもらった後、私自身の言葉で編集して作成したものになります。
投稿者プロフィール

最新の投稿
税理士業務2026年9月12日AIとゴルフと税理士
法人税法2026年7月30日減価償却費という不思議な科目
雑談2026年7月8日東京出張徒然。上野、浅草、時々租税教育研修、のちに夜の街ぶらり
税理士業務2026年7月2日子どもと話して考えた税金を納める意味

