AIと税理士

最近、「AIに税理士の仕事が奪われるのでは?」という話をよく聞きます。

正直に言うと、この問い自体が少しズレていると感じています。

税理士法にも電子化やDXについていくことを努力義務とする条文が新たに作られました。そこから見ても、税理士にはAI等の新たな技術に積極的に取り組まねばなりません。

(税理士の業務における電磁的方法の利用等を通じた納税義務者の利便の向上等)
第二条の三 税理士は、第二条の業務を行うに当たつては、電磁的方法の積極的な利用その他の取組を通じて、納税義務者の利便の向上及びその業務の改善進歩を図るよう努めるものとする。


私も遅ればせながらAIに課金し始め日常業務で使うようにしていますが、税理士の仕事は「奪われる」というより、「使いこなせるかどうか」で差がつく段階に入ってると考えます。

私は現在、ChatGPT、NotebookLM、ProudNoteといったAIを実務で使っていますが、結論はシンプルです。
AIは万能ではありません。ただし、使い方を間違えなければ、極めて優秀な“補助者”になります。

まず、ChatGPTです。
これはいわゆる汎用型AIで、文章作成や要約、アイデア出しなど、幅広い用途に使えます。実際このブログも業務向けの発信は、ChatGPTでアイデア出しやたたき台を作成したうえで、中身を私の方で添削したり、自分の意見に変えたりしています。

税理士業務との相性も非常に良く、顧問先への説明文の下書き、メール文面の作成、制度の整理など、日々の細かい作業のスピードは確実に上がります。
ただし、ここで重要なのは「そのまま使わないこと」です。AIはそれらしく誤ったことも言います。ハルシネーションってやつですね。特に税務の世界では、条文や通達の読み違いがそのままリスクになるため、最終判断は必ず自分で行う必要があります。必ず情報源、ソースを見なければなりません。
言い換えれば、ChatGPTは“考えるための材料を出してくれるツール”であって、“結論を任せる相手”ではありません。

次にNotebookLMです。
これは自分がアップロードした資料をもとに回答するAIで、一般的なAIと違い、「情報の出どころが自分で管理できる」という特徴があります。
税理士業務においては、通達や制度解説、顧問先ごとの資料整理などに非常に相性が良く、「長い資料を短時間で整理する」という点ではかなり有用です。
一方で、当然ながら元データに依存します。誤った資料を入れれば、そのまま誤った整理が出てきます。この点は、むしろ人間よりも素直です。だからこそ、「何を入れるか」を判断できるかどうかが重要になります。

研修で近畿税理士会の先生がこのAIを絶賛してたのをみて使い始めましたが、今後これが一番使うことになるAIだと感じています。

そしてProudNoteです。
これは議事録やメモの整理、ナレッジ管理に強いツールで、面談内容や顧問先ごとの対応履歴を蓄積していく用途で使っています。
税理士業務は“過去のやり取り”が非常に重要になる場面が多いため、記録をきちんと残し、後から引き出せるという点で相性は良いと感じています。
ただし、ここは最も慎重であるべき領域でもあります。顧問先の情報を扱う以上、守秘義務との関係は避けて通れません。どこまでを入力するのか、どう管理するのか、自分なりのルールを持つことが前提になります。

こうして見ていくと、AIでできることとできないことはかなりはっきりしています。
AIは情報整理や文章作成は得意ですが、事実認定や法令解釈、そして最終的なリスク判断はできません。ここは税理士の本質的な仕事であり、現時点では代替される領域ではないと考えています。

今後問題になるのは、「AIを使わないことによる非効率」です。
単純作業に時間を取られ続けるか、それともAIに任せて、より付加価値の高い業務に時間を使うか。この差は今後、確実に広がっていくと思います。

AIは魔法ではありません。しかし、使い方次第で確実に武器になります。
税理士にとって重要なのは、“AIに任せる部分”と“自分が責任を持って判断する部分”を切り分けることだと考えています。

現場で使っている実感としては、AIは「仕事を減らす道具」ではなく、「仕事の質を上げるための道具」です。
そしてそれをどう使うかが、そのままサービスの質の差につながっていくと感じています。

AIを使うかどうかではなく、どう使っていくか。
その視点でこれからも試行錯誤していきたいと思います。私も使いこなせてるとはとても言えない習熟度ですが、

使わないといつまで経ってもできるようにならないので、毎日触っていきたいです。

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澤村
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