所得に係る法人税率は何%か。
自営業がある程度うまくいったら法人化を考える方がいらっしゃると思います。
マネーフォワード等のサービスを使えば会社を作るのは案外簡単です。むしろたたむのが大変だったりしますが・・・
法人税と一言で言っても、実は法人税というのはいくつか種類があります。
国に納める法人税、地方法人税
県に納める法人県民税、法人事業税
市に納める法人市民税
これらの税率がそれぞれどうなっているか、又、結局所得のどれくらいが法人税としてとられてしまうのか、計算してみようと思います。
例とする会社は、
従業員20人ほど、栃木県さくら市にのみ事業所を有する資本金800万円、所得(≒当期純利益)が 400万円の法人とします。
①法人税
国に納める法人税の税率は中小企業で800万円以下の所得の場合15%です。
No.5759 法人税の税率|国税庁 (nta.go.jp)
法人税額=所得4,000,000×15%=600,000
②地方法人税
地方法人税の税率は10.3%です。
地方法人税の税率の改正のお知らせ|国税庁 (nta.go.jp)
ただ、これは所得に対してかけるのではなく、法人税額に対してこの税率をかけます。このように税率をかける対象を課税標準といいます。
地方法人税額=法人税額600,000×10.3%=61,000(千円未満切捨て)
③法人県民税
法人県民税には所得に対して率をかける法人税割と、事業所がある場合定額をかける均等割があります。企業規模により率、額ともにけっこう隔たりがあります。
前提条件の場合、所得割の税率は1.0%、課税標準は法人税額、均等割は21,400円です。
県民税法人税割:法人税額600,000×1.0%=6,000(百円未満切捨て)
④法人事業税
法人事業税には所得を課税標準とする所得割と、それによって算出した所得割額を課税標準とする特別法人事業税があります。
説例の場合、所得割は400万円以下の部分は3.5%、特別法人事業税は37%です。
所得割:4,000,000×3.5%=140,000
特別法人事業税:140,000×37%=51,800
⑤法人市民税
法人県民税と同じく、法人税割と均等割があります。
さくら市の場合、法人税割は8.4%、均等割は60,000円です。
法人住民税 | さくら市公式ホームページ (tochigi-sakura.lg.jp)
市民税法人税割:法人税額600,000×8.4%=50,400(百円未満切捨て)
以上から400万円の所得の会社の場合、各種法人税の合計は、
Ⓐ(600,000+61,000+6,000+140,000+51,800+50,400)+Ⓑ(21,400+60,000)=990,600円ということになります。
Ⓐ(所得に係る税金)の合計909,200円は所得がない場合はかかりませんが、Ⓑ(存在するだけでかかる税金)の合計81,400円は、赤字だとしても会社がある限り原則発生することになります。
この例からすると、909,200÷4,000,000=だいたい22.73%が所得に係る法人税率ということになります。
ちと不安なので違う方法で求めてみます。
所得を課税標準として税率を考えるとすれば、地方法人税は15%×10.3%=1.545%
県民税法人税割:15%×3.5%=0.525%
市民税法人税割:15%×8.4%=1.26%
事業税所得割:3.5%
特別法人事業税:3.5%×37%=1.295%
15%+1.545%+0.525%+1.26%+3.5%+1.295%=23.125%
百円未満等の切り捨てがあったためぴたりとはきてませんが近似値、といっていいかなと。
こういうわけで、お客様には少し厳しめに見積もって、大体25%が税金で持っていかれると説明することもあります。
実効税率との違いとか、数学的な書き方がへたくそだったりしますが、大体こんなもんと思っていただければ幸いです。
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