専従者給与
最近寄せられた相談で、専従者給与に関する質問がありました。これについて少し備忘録代わりにまとめようと思います。
個人事業主が同一生計の家族に給与を支払う場合、原則はそれは経費になりません。子供や奥さんに生活費渡しても経費にならないのと同じで、同一生計、つまり財布が同じ場合はただのお小遣い程度に見られてしまいます。
しかし、青色専従者給与とすれば、その払った給与は経費として認められることになります。
1. 専従者給与とは?
専従者給与とは、個人事業主が生計を一にする親族(配偶者・子・親など)に支払う給与のうち、一定の要件を満たすことで「必要経費」として認められるものです。
所得税法の規定(第57条)
青色申告者が、事業に専ら従事する親族に給与を支払った場合、以下の条件を満たせば、その給与は必要経費に算入できます[1]:
- 青色申告者と生計を一にする親族であること
- 年齢が15歳以上であること
- その年を通じて6か月を超える期間、事業に専ら従事していること
- 「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出していること
- 支払った給与が労務の対価として相当であること
https://www.zeiken.co.jp/hourei/HHTOK000000/57.html
2. 実務上の要件と注意点
届出書の提出期限
- 原則:その年の3月15日まで
- 新規開業:事業開始日から2か月以内
提出が遅れると、その年の給与は経費にできません。なお、上記の期限は青色申告承認申請書も同様です。確定申告期限までに出さないと色々特典を受けられないものが多いですね。
「専ら従事」の判断基準
- 他に職業があると認められる場合はNG
- 学業が主な学生も原則NG
- 年間240日以上の従事実績があるかが判断材料になることも。
この点についてが相談がよくあるところで、他にパートをしていたら専従者給与は認められないのか、という不安の声を聴きます。
パートが週5とか、どう考えても主たる事業になってて、家族の仕事に「専門的に従事」することができないということなら確かに難しいですが、
週1とか隙間バイトのように、本業に支障のない程度であれば、副業があっても専従性が否認される可能性は低いと思います。
ケースバイケースで考えなければいけないところですね。
まとめ
専従者給与は、正しく活用すれば大きな節税効果があります。しかし、要件を満たさなければ経費として認められず、税務調査で否認されるリスクもあります。制度の趣旨と実務上のポイントを理解し、適切な手続きを行うことが重要です。
なお、他に注意する点としては、専従者は社会保険の扶養に入ることはできますが、配偶者控除の対象になることはできません。
事業をやってる当人の配偶者控除の対象になるのはもちろん、父親の仕事の専従者になって、夫の配偶者控除を受ける、といったこともできません。
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/gensen/03/11.htm
お財布が同じという事は所得の操作が容易であるため、このような制限があると考えます。配偶者控除も強力な控除なので、間違えないよう気を付けたいですね。
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