土石等の譲渡
例のごとくですがあっという間に10月も最終週です。
・10日までに源泉所得税、住民税のダイレクト納付
・10月決算法人の法人税、消費税の届け出確認
・8月決算法人の確定申告
・2,5,11月決算法人の中間申告
これらについては全て完了し、11月のルーティンワークとして、
・10日までに源泉所得税、住民税のダイレクト納付
・11月決算法人の法人税、消費税の届け出確認
・9月決算法人の確定申告
・3,6,12月決算法人の中間申告
の確認をそろそろ行おうかという時期になりました。
そして、早いもので今年もあと2か月と少し。個人の確定申告の準備も同時並行で進めていかなければなりません。
お客様から請け負った申告のうち珍しいものとして、「土石等の譲渡」があります。
「土石等の譲渡」とは、個人が所有する土地の地表や地中にある土石・砂利などの天然資源を譲渡することによって得られる所得を指します。これは、譲渡所得の対象となる資産の一つとして位置づけられています。
あくまで土地の譲渡ではなく、土地の上にある土や石を譲渡するという取引です。まとめると以下の通りです。
🪨 土石等の譲渡の定義と論点
1. 譲渡所得の対象資産としての位置づけ
- 所得税法第33条および基本通達33-6の5により、土地の所有者が地中の土石・砂利等を譲渡した場合の所得は「譲渡所得」に該当します。
- これは、土地そのものではなく、土地に付随する天然資源の譲渡である点が特徴です。
2. 譲渡の形態と課税関係
- 土石等の譲渡は、通常の売買契約や採掘権の設定などを通じて行われます。
- 土地の譲渡とは異なり、総合課税の譲渡所得に該当します。譲渡収入から、取得費(該当する場合)および譲渡費用を控除した残額から、特別控除50万円を差し引いた金額が譲渡所得になります。
3. 事業所得との区分
- 土石等の譲渡が継続的・営利的に行われる場合(例:採石業者など)は、譲渡所得ではなく事業所得として扱われる可能性があります。
- 一時的・偶発的な譲渡であれば譲渡所得、反復継続的な譲渡であれば事業所得という区分が重要です。
4. 取得費の判定が困難なケース
- 土石等は土地の一部であるため、取得費の按分が難しいことがあります。
- この場合、譲渡収入の5%相当額を取得費とみなす「概算取得費方式」を適用します。取得費について書かれた通達38-13の2には以下のように記述されています。
- 38-13の2 土地の地表又は地中にある土石等を譲渡した場合の譲渡所得の金額の計算上控除する取得費は、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次による。
- なお、その土地の所有者が当該土石等の譲渡後の土地について原状回復等を行った場合には、その原状回復等に要した費用の額はその土地の取得費に算入する。(昭56直資3-2、直所3-3追加)
- (1) 土石等の譲渡後におけるその土地の価額が、その土地の取得費に相当する金額以上である場合 土石等の譲渡に係る取得費はないものとする。
- (2) 上記(1)以外の場合 その土地の取得費(土石等の譲渡前におけるその土地の価額が、その土地の取得費の額に満たない場合においては、当該価額)のうち、土石等の譲渡後におけるその土地の価額を超える部分の金額に相当する金額を土石等の譲渡に係る取得費とする。
- (注) 土石等の譲受者が、土石等の採取後、その土地について原状回復を行う場合には、上記の「土石等の譲渡後におけるその土地の価額」は原状回復後のその土地の価額による。
初めてお目にかかる取引はまず通達等で所得区分のあたりをつけることから始めます。特に所得区分が10種類に分かれる所得税は、時に法人税より難しいと思うこともあります。
開業初年度、ミスなく無事に終わらせられるよう頑張ります。
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